年間数百台を組むプロのBTOビルダーが趣味でデスクトップPCを作成した結果【芸術的】
私の友人に、これまで学校・法人・企業相手に年間数百台のBTOパソコンを組んできたプロのBTOビルダーがいます。PCの大先輩で、いつもなにかとお世話になっている方です。
私自身は自作PCというジャンルは興味はあってもなかなか手を出していませんでした…。
今回は数十~数百万円のオーダーメイドPCをトータル1,000台以上作成してきたプロの先輩が、自作PCの基本から裏技までを教えてくれましたので、まとめてみます。
使用する機器
今回はすべて新品で組んでいくわけではなく、先輩の持ち合わせのパーツと新品パーツを組み合わせて、業務用でも通用するPCに組んでいく過程になります。
現在も手に入るものはAmazon等のリンクもつけておきます。
ケース
IN-WINの古いケース(2009年くらいのモデル)
電源
AcBel iPower 85 450(400W ブロンズ)
これはかなり良い電源で元値は10,000円以上したとのこと。こちらも先輩の手持ちの品。
マザーボード
ASUS P8H77-M PRO
このマザーボードも手持ちのストックということです。2012年発売のマザーボードでサイズは245×245mmのMicroATXです。すでにCPUとクーラーは取り付けてあります。
CPU
Intel Core i7 2600K
こちらも手持ちのCPUでCoreシリーズの第二世代、2011年発売とかなり古いですが、まだ現役ですね。オーバークロックも可能です。
CPUクーラー
SCYTHE MONOCHROME PRO(Intel専用ベーシック)
このCPUクーラーがまず重要ポイントで、このままではファンの耐久性の問題があるとのこと。(プロのBTOビルダーのお話なので真剣に聞きました)
CPUクーラーの耐久性問題を解決するために、ファンのみ「オウルテック F8-PWM」というモデルに付け替えているとのこと。
これにより高信頼性のCPUクーラーが完成するそう…。
「CPUクーラーのもともとのファンでは超長時間の使用に耐えることができない。オウルテックのF8-PWMに交換することで、圧倒的に耐久性を上げることができる」らしい。
このクーラーなら、CPUはIntelのCore i7の2~9000番台でももちろん余裕でOK。TDP 95Wまでは許容とのこと。(オーバークロック用途では他の選択をおすすめ)
ただし、Intelのリテールクーラーと同様に騒音は結構あるので、音を抑えたい場合には虎徹Mk-2などのサイドフロー型のクーラーが良いかもしれません。
その後、私もCPUクーラーを交換したのですが、中華製のお値段控えめなSE-224XTというモデルはTDP180Wまで対応でなかなかおすすめです。
虎徹Mk-2やSE-224XTはヒートシンクの高さがあるのでケースの容量には注意が必要です。
CPUグリス
AINEX シルバーグリス【AS-05】
業務レベルで利用するにもOKなグリス。販売から15年以上が経過しているシルバーグリスの定番で、AINEXでの購入が安全とのこと。
また「長寿命で確実に汎用グリスより2倍以上は硬くならない。数値的にハイスペックな製品は他にもあるが、AS-05の長い実績から先輩の業務でも常用されているグリス」とも。
メモリ
Team 8GB DDR3 × 2
マザーボードの関係でメモリはDDR3の8GBを2枚使用。
SSD
Crucial 500GB MX500
SSDは安心・高速のクルーシャル MX500の500GB。ロングセラーモデルですね
ケースが古いため、2.5インチのSSDを3.5インチへ変換するためのマウンタ「N-MT304」を利用。左寄せタイプですね。メカメカしい感じを出すため、あえて鉄っぽさのあるものをチョイス。
グラフィックボード
GEFORCE GTX1050 Ti
グラボには、一般用途で必要十分な性能を誇るGTX1050Tiを積みます。
以上で使用する機器の紹介は終了です。CPUクーラーについてが「業務レベルでの使用に耐えるための技法」ということで要チェックです。
組み立て
バックパネルはめ込みからスタート。結構古いケースですが、全面を水洗いしてこの状態。
そしてマザーボードを載せます。
電源とリセットボタン、アクセスランプをセットします。
前面に来るUSB、マイク&イヤホン端子の設置。
この際の配線がプロの技術です。⇩
「配線こそが腕の見せ所」ということで、ただ繋いで固定すればいいというものではないとのこと。
配線はクロスはさせないように、そしてパネルに沿わすように、かつ最小限の結束バンドで留めていきます。
ちなみに、使っているバンドは再利用可能タイプ。これは超役立つとのこと!一度締めてしまっても、再度緩めることができるのでかなり融通が利くようです。
そしてSSDが装着されました。3.5インチへの変換ベイを利用してサクっと取り付け。
とても古いPCが元なのでフロッピーディスクドライブがついていたようですが、多機能カードリーダーへ換装。
電源が入ります。上からの図ですね。このケースは電源が上からしか入らないです。今どきのケースは左右が大きく開くのがほとんどですが、古いがゆえにムズイ。
電源のコードがかなりごちゃごちゃになりますよね。
長いケーブルの処理
電源の太いケーブルの処理がセンス必要とのこと。まずはマザーボードへのケーブル処理へ。通信系統と電源系統は分けて束ねてゆきます。
リピート可能なインシュロックを用意して各ケーブルを束ねます。
マザーボード周りの処理が終わったら、電源のケーブルのコードを束ねてきます。
このたたみ方がポイント!
親指で抑えている部分をインシュロックで固定します。⇩
固定場所はケース内部の幅のあるスリットが入った部分。⇩
さきほど親指で抑えていた部分を、インシュロックを通した場所へと固定していきます。
電源コードをしっかりと束ねつつ、ケースの一部にフィットさせて固定。これによってごちゃごちゃしがちな電源回りもすっきりします。
ビープブザーを付け忘れていたので取り付け。普通のインシュロックではまた切ってやり直しですが、最初の画像を見てから…
次の写真を見ると、リピートタイが非常に役に立つことがわかりますね。ビープブザーを取り付けるために、緩めてまた締め直すことが可能です。
続いて、リアファンのケーブル処理です。ファンフレームに穴があり、そこにケーブルをまとめてインシュロック。
この長いケーブルが…
ここまですっきりまとまります。切り欠きにインシュロックを通してまとめる。これが最も美しいファンケーブルのまとめ方とのこと。そして取り付けます。
CPUファン用のケーブルも、いったん各ケーブルを束ねます。
長さが足りないインシュロックを2つ合わせてロングにすることで対応。
ここでも通常インシュロックよりもリピートタイが良いとのこと。。
アクセス不能部分は確実に美しく仕上げる。このあたりがプロの作業ということを実感します。そしてメモリ、グラボ等もいつの間にか搭載。
SATAケーブルを繋ぎます。このマザーボードのSATAポートは2種類で白6Gbps(システム用)青は3Gbps(光学ドライブ用)です。
「SATAケーブルはひねる方向まで考えて浮かせないようにする」←ここもプロの鉄則。
上部にはDVDドライブも挿してあります。ここまでですべての機器が搭載されました。
ついに完成
完成図です。各ケーブルが最短の長さでつながっているように見えます。(実際は相当長いものまとめてある)
メモリやCPUなどへのアクセスも非常にしやすい形に仕上がっています。これがプロのBTOビルダーが趣味でPCを組んだ結果です。
まとめ
ここまでの作業をトータルで見てみますと、何と言ってもケーブルの処理が綺麗。そして、ケーブル類がまとまっているメリットはメンテナンス性の向上と美しさのアップ。
結束のために使用していたリピートタイは非常に便利で、かなりおすすめということですので再度リンクを貼っておきます。
このバンドに関してプロのご意見としては…
リピートタイ(インシュロック)はむやみには増やさない。電源関係のノイズを気にしつつ、別々でまとめる。
また、趣味ではこのリピートタイを使うが仕事では使用しない。何回も組みなおす可能性がある自作PCなどの場合には便利なので使うとのこと。
また、配線の美しさまで気を配って作業を進めれば「100万円以上のPCでも組める技術を習得できる(多分)」とのこと。
100枚を超える写真の提供と、裏技的技術の伝授をありがとう先輩。本当に感謝です。
その後、自分でも自作PCを組みました。M1 Macに対抗したいという思いで作ってみました。