Fire HD 8 タブレット 第12世代(2022)の細かいデメリットを挙げる【実機レビュー】
Fire HD 8(第12世代 2022年発売)ブルーを値上げ直前に購入したので、デメリットを中心にレビューします。
購入を考えている方の最終チェック項目としていただければと思います。
第12世代 Fire HD 8(2022年モデル)の特徴
第12世代のFire HD 8です。上位のPlusモデルもあり、ほかに7インチモデルと10インチモデルも出ています。
ちょうど中間的なサイズ感で扱いやすいモデルですね。
4コア⇒6コアプロセッサーとなり、前世代機(2020年モデル)より最大30%の処理速度向上。
0.1mm薄くなり、重量も約20g軽くなっています。
しかし、前作の2020年モデルは10,000円弱だった価格は値上げの影響もあり、約14,000円となりました。
2023年2月にFire HDタブレットの各モデルが2~4,000円値上げしました。
Fire HD 8(第12世代)のデメリット
価格が上がった
繰り返しですが、Fire HD 8(12世代)は2023年2月に値上げされてしまったため約14,000円となりました。
今回の値上げを合わせると前作(第10世代)から約1.5倍ほどの価格上昇とかなり厳しいです。
コスパの高さが売りだったメリットが薄まってしまった印象。
ただ、iPad(第9世代)の価格も39,800円→49,800円と大幅に上がっているので全体的に見ればまだ安いです。
むしろ今まで価格をかなり抑えて販売していたようですね。
スペックは高くない
2020年(第10世代)のFire HD 8から考えるとスペックは30%程度上昇しています。
とはいえ、ベンチマークテストなどを行うと性能は2014年に発売されたiPad mini 4と同レベルです。
正直、最近のiPhoneやiPadと比べてしまうと動きの悪さがちょっと気になってしまいます。
ただ、そうはいっても前作よりもパワーアップしているので、SilkブラウザでのブラウジングやAmazon系アプリでイライラすることはないです。
もちろん、最近のiPadと並べて使うと圧倒的な差を感じますが、Fire HD 8だけで使っていれば気にならないレベルになっていますね。
Fire HD 8 | iPad mini 4 | iPad Air 3 | |
---|---|---|---|
Geekbench 5 シングル | 180 | 340 | 1100 |
Geekbench 5 マルチ | 850 | 600 | 2900 |
生体認証なし&スリープ解除が面倒
価格的にカットした部分なのでしょう、生体認証は一切ついていません。
また、iPhoneなどのように持ち上げたり画面タップでスリープ解除などの機能もありません。
本体の左上にある電源ボタンでのみスリープ解除、起動が可能。また、PINやパスワードでのセキュリティロック解除となります。
縦持ちした左上に電源ボタンがある |
専用の、もしくはスリープ解除に対応したケースを使えば代用できるので、電源ボタンを押すのが面倒であればケースをつけるのもアリです。
ボタン類の場所もちょっと特殊で、全て短辺の片側に集中しています。慣れるまでは違和感がありますね。
アクセサリーが少ない
iPadと比較してなので申し訳ないですが、サードパーティ製のアクセサリーは少ないです。
数は出ていますが、どれも似たような中華製品が並んでいます。Android端末と比べれば多いので、文句を言うのは悪いですね。
アプリが少ない・Google Playは入らない
Fire HD タブレットでは利用できるアプリが少なく、iPhoneやAndroidで使っていたアプリが使えない場合が多いです。
Amazonアプリストアにはメジャーなアプリ、例えばTikTokやTwitter、Instagram、Zoom、Netflix、huluなどはあります。
Microsoft Officeはダウンロード可能で、閲覧程度なら問題無いです。
Fire HD 8はMicrosoft 365に加入しなくても、Officeモバイル版は動作します。(ログインは必要)
ただ、個人的に一番欲しいGoogle系のアプリが無いです。
一応「Silkブラウザ」でGoogle系のサイトにログインして利用することは可能ですが、アプリが使えないのがちょっと寂しい。
YouTubeは公式なのか非公式なのかわからないアプリがあったり、誰が作ったのか不明な謎アプリやゲームアプリは多いです。
Fire HDタブレットでの作業はブラウザ上で済ませるようにしたり、そもそもをメインで使うことをしないのが大切です。
この子には求めすぎず、Amazonの端末としてコンテンツ消費用と割り切って使うことが何より大切だと感じました。
Google Playについては今回のアップデートでほぼ完全に利用不可になったようです。(これまでも非公式な方法で導入が可能だっただけ)
ホーム画面のカスタマイズ性が微妙
FireOSはAndroidOSベースでカスタマイズがされていて、ユーザーが調整できる範囲が狭いです。
それでもホーム画面をシンプルにすることなどは可能でした。画面の上のほうに入る宣伝などを消せました。
宣伝が入るホーム画面 |
「設定」→「アプリと通知」→「Amazonアプリケーションの設定」→「ホーム画面」
ここにある「おすすめ」と「続き・もっと見る」をOFFにします。これでかなりスッキリしました。
スッキリしたホーム画面 |
壁画を変えたり、いくつかのアプリを一つにまとめることなどもできます。これは他のタブレットやスマホと同じ方法ですね。
通常版HD 8の付属充電器は遅い
通常版HD 8付属の充電器は「5W出力」となっていて充電が遅いです。また、ワイヤレス充電にも非対応です。
ちなみにHD 8 Plusモデルには「9W出力」充電器が付属しています。
そこで、試しに65Wまで対応の充電器で試してみると最大で15W程度までの入力が可能でした。
ただ、充電器の出力が高ければ良いのかというと、一概には言えないようです。
例えば、Ankerの最大18W対応充電器でつなげても5Wを超えませんでした。
私の手持ちの充電器でわかったのは恐らく「5V×3A」出力対応の機種等では通常版HD 8でも急速充電が可能のようです。
最小音量が大きい
完全に些細なこと(言いがかかり)になってきましたが、搭載されているステレオスピーカーはまあまあなのです。
しかし、最小音量が大きいです。
iPadと比較すると…
iPad Air 3 音量+5=Fire HD 8 最低音量
回りに人がいるならイヤホンの利用が必要でしょう。イヤホンなら問題なく調整できました。
これはほんとに些細なことですが、個人的に感じたデメリットでした。
Fire HD 8(12世代)はどこまで使えるか
ここまでFire HD 8のデメリットをひたすら並べましたがいかがでしょうか。
価格は上がり、スペックはギリギリ使えるレベルで、アプリは最小限。生体認証もなくてアクセサリーも少ない。
かなり厳しめに書いていますが、実際に使ってみて個人的には普通に満足しています。
Fire HD 8 12世代のメリット
- 値上げでもコスパは高い
- 比較的軽量
- Amazonアプリに強い(アレクサ対応)
- 音質は良い
- バッテリー持ちは十分
価格は上がってもまだ安い。(iPadの3分の1程度)
スペックは低いですが、書籍や動画視聴用には必要十分。生体認証なんて無くても慣れればいい。
ハイスペックなタブレットと比較してもほとんど意味がない独特な魅力がこの端末にはあります。
Fire HD 8にできること
ブラウジングや公式ストアのアプリ利用
ブラウザでの検索であったり、公式ストアからダウンロードしたアプリの利用には全く問題はありません。
Microsoft Officeのモバイル版は動作しますし、閲覧や簡単な編集までは可能です。
キビキビとした動きはないものの、ストレスまでは感じさせない性能なのがFire HD 8です。Fire HD 10はさらに性能が高いです。
一番小型のFire HD 7だとちょっとスペック不足を感じてしまう場面が多いようです。(CPUが弱い)
Amazonのサービス
Amazon専用のサービス、特にAmazonプライム会員用サービス概ね快適に利用できます。
Amazonプライムの改悪について
AmazonプライムでAmazon Musicを他の端末(iPhoneなど)で再生すると、自作プレイリストをそのまま再生してくれず、ランダムでほかの曲も流れるなど使い勝手が悪いです。
Kindle本の閲覧もスムーズです。画面サイズ的に8インチだと漫画や書籍が一番読みやすいジャンルと言えそうです。
プライムビデオももちろん快適で、HD画質までですが早送りなどもひっかかりは少ないです。
Amazon Photosも今のところ容量無制限で写真をアップロードしておける便利なサービスですね。
Alexa搭載で、ShowモードにしてEcho Showのように利用したりもできます。(Alexaはプライム会員でなくても使用可能)
Showモードについて
「Showモード」をオンにすると、Echoデバイスと同じようにAlexaがフルスクリーンで表示されます。
これら、特にAmazonプライム会員なら使えるサービスには力が入っていて扱いやすいです。
Zoom
Zoom会議にも利用してみましたが、問題なく動作しました。ギャラリービュー画面には最大8名の表示ですね。
以前スペックの低いChromebookでZoomが厳しい場面があったので、FireOSはやはりAndroidベースで軽いのでしょうか。
このようにFire HD 8は、Alexaも搭載されていて、音楽プレイヤー、動画再生などにはストレスなく使えます。
Amazonに課金していれば普通に満足できてしまう使い勝手とコスパの良いタブレットなのです。
Bluetoohキーボードとマウスを接続
Bluetoohでキーボードとマウスも普通に接続でき、日本語キーボードにも対応しています。
設定の「端末オプション」「キーボードと言語」の「物理キーボード」から「使用中のキーボード」を選んで「キーボードのレイアウトを設定」にで「日本語」を選択します。
これで半角/全角なども普通に機能します。(英語キーボードではShift+Spaceで英数・かな切り替え)
マウスは設定なしで「戻る・進む」ボタンは効きますね。このあたりはiPadよりも素直かもしれません。
細かな設定はできませんが、入力作業は普通にできるのがGoodですね。
購入前にチェックしたいポイント
利用用途に合えば使い勝手が良いFire HD 8ですが、しっかりチェックしておいたほうがいいポイントはいくつかあります。
使いたいアプリは動くかをチェックする
購入前に、Amazonアプリストアに使いたいアプリが存在しているかをチェックしておくのがいいでしょう。
Amazon公式のアプリ以外もインストール可能な場合もありますが、その後しっかり動作するかは不明です。
なので、Amazonアプリストア上にあるもので十分かどうか見極めるのが大切です。
Amazonプライム会員かどうか
Amazonプライム会員やその他のサブスクリプションサービスに登録していないと使えない機能(Amazon Musicやプライムビデオなど)があります。
もちろんプライム会員でなくてもFire HD 8自体は普通に動くし、ブラウザやダウンロードしたアプリは使えます。
ただ、プライム会員で使えるサービスが多いのも事実なので、Amazonにどこまで課金するかも評価に関わってくるでしょう。
タブレットに性能を求めていないか
繰り返しになりますが、Fire HD タブレットに高性能を求めるべきではないです。
AmazonのサービスやAmazonアプリストア上のアプリを動かすこと以上は求めてはいけないのです。
もしもタブレットを仕事に使ったり、マルチタスクをこなしたい場合はiPadを選択するのが良いでしょう。この後で比較します。
iPadとの比較など
私は特に意識せずにiPhone、iPad、MacBookをそろえてApple信者になっている感じですが、Fire HD 8も使って検証しました。
正直iPadがあるならFire HD 8はいらない気はしますが、逆にiPadが無くてもFire HD 8があればコンテンツは十分楽しめます。
iPadは高いだけあって高性能でできることも多くて、仕事や学校での利用にも耐えられる製品です。
Fire HDタブレットは家や外出先でのコンテンツ消費用としては十分な性能と感じます。
iPad Air 3と比較
Air 3のスペック
iPad Air 3=無印iPad 第8世代<無印第9世代(ちょっとだけ速い)くらいなので、今のエントリーグレードiPadと同じくらいの性能と考えてください。
Fire HD 8 | iPad Air 3 | |
---|---|---|
Antutu 9 | 約14万点 | 約58万点 |
Geekbench 5 シングル | 180 | 1100 |
Geekbench 5 マルチ | 850 | 2900 |
スペックは4分の1くらいで価格差は3分の1なのでまあ許容範囲。無印iPad第9世代とも同程度の差になります。
iPadとFire HDは目指すものが違う
前半でも触れましたが、iPadとの純粋な性能比較はあまり意味がないです。
iPadは高性能をゴリゴリに使ってApple Pencilやほかの有用なアプリを活用する目的にぴったりな製品です。
Fire HD 8でも使うアプリを限定すれば不満は出ないでしょう。(私のようなガジェット好きの方には物足りなさがあると思いますが…)
今作(第12世代)は非常に多くの人のニーズを絶妙に満たすコンテンツ消費専用の端末です。
iPadがおすすめな人
- 仕事や学校で使いたい方
- Apple Pencilを使いたい方
- タブレットをPC的に利用したい方
Fire HD 8がおすすめな人
- Amazonのサービスをよく使う方
- 読書や動画視聴用の端末が欲しい方
- Alexaを利用している方
以上のように用途が分かれます。正直iPadがあるならほぼすべての用途に対応可能です。
じゃあみんなiPadが良いのかというと、Fire HDは価格が安い(iPadエントリー機の3分の1程度)強みがあります。
つまりコストパフォーマンスでの勝負でFire HDはiPadと戦える分野があるということですね。
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Fire HD 8 第12世代(2022年モデル)まとめ
動作はそれなりにキビキビ。普通に雑誌も漫画も動画もストレスなく見れる。音楽も聴けてAlexaと会話も可能。
用途さえ間違えなければ今でも十分にお買い得なFire HD 8でした。
Amazonセールなどで安く手に入れたり、新品に近い中古で手に入れたりも良いかもしれません。
Fire HD 8のスペック
- ディスプレイ:8インチ(1280x800)
- CPU:2.0GHz 6コアプロセッサ
- RAM(メモリ):2GB
- ストレージ:32・64GB
- サイズ:201.9 x 137.3 x 9.6 mm
- 重量:337g
- バッテリー:最大13時間
- 最大13時間持続するバッテリー
- 2メガピクセルのフロントカメラとリアカメラ
- Wi-Fi:デュアルバンド802.11a/b/g/n/ac対応
- 外部音量コントロール、A2DPステレオヘッドホン対応Bluetooth (5.2)
- Alexa搭載
- カラー:ブラック、ブルー、ローズ
セキュリティについて
Fireタブレットは約2年ごとに新モデルが発売され、セキュリティアップデートを販売終了後4年間保証してくれるようです。
Androidでよくある、セキュリティアップデートがいつ終わるかわからない危険な仕様にはなっていないですね。
Amazonヘルプを見ると2022年(第12世代)モデルは最低保証期間が2027年となっています。
Fire HD 8「Plus」(2022)との違い
Fire HD 8 | HD 8 Plus | |
---|---|---|
重量 | 337g | 342g |
メモリ(RAM) | 2GB | 3GB |
充電時間 | 5時間 | 3時間 |
リアカメラ | 2MP | 5MP |
ワイヤレス充電ができたり、メモリ容量が多いので複数のアプリ動作時やゲームでの動きが軽いのが上位機種の「8 Plus」です。
これらに魅力を感じるなら「Plus」のために、プラス2,000円出してもいいかなと思います。
ただし、一般的な使い方の場合は価格の安い「通常のFire HD8」で十分でしょう。
価格上昇が痛いですが、Fire HD 8 12世代(2022)はバランスの優れた非常にコスパの高いモデルです。